RECONNECT

空港で、止まっていた時間が動き出した。

2024年2月、岩井雪乃准教授は学生8名とともに、東マレーシア・サバ州のコタキナバルへ向かいました。現地の空港で迎えたのは、以前から活動を支えてきたマレーシアの若者たちです。

早稲田大学の学生ボランティア団体「ボルネオプロジェクト」は、無国籍の子どもたちへの教育支援に取り組んできたと、元記事は伝えています。現地ではマレーシアの学生たちが協力し、日本の学生だけではつくれない活動を一緒に育ててきました。

再会したのは、人だけではない。
次の学生へ渡せずにいた経験も、そこで再び動き出した。

EDITOR'S NOTE|Story Malaysiaによる読み解き

THE FOUR-YEAR GAP

渡航だけでなく、経験の継承も途切れた。

コロナ禍の4年間、現地へ行くことができませんでした。その間に、マレーシアへの渡航を経験した学生は卒業し、現地で何を見て、どう迷い、誰と関係を築いたのかを、後輩へ手渡す機会も失われていきました。

岩井准教授は、活動を途絶えさせたくないという思いから今回のスタディツアーを企画しました。一方、マレーシア側でも卒業生が現役学生へ声をかけていました。再開は、以前のメンバーがそのまま戻ることではなく、日本とマレーシアの双方で活動を次の人へ手渡すところから始まったのです。

活動の始まり

学生とともにボルネオプロジェクトを立ち上げる。

渡航できない期間

経験者が卒業し、後輩へ経験を渡す流れも途切れる。

スタディツアー再開

日本の学生8名とマレーシアの学生が、現地で再び活動する。

QUESTIONING SUPPORT

善意が、相手の望みと同じとは限らない。

赤嶺友香さんの参加報告で強く残るのは、善意だけでは越えられない限界と正面から向き合っている点です。

子どもたちの将来の夢を聞き、その実現のために国籍を得られるよう力になりたいと考えた赤嶺さん。しかし、その後に先輩から、国籍の取得は複雑で難しく、取得を望む人も少ないという現実を教わります。さらに、短期間の学生ボランティアで解決できる問題でもありません。

相手のためを思った答えが、相手にとっての答えとは限らない。その気づきが、赤嶺さんに学生ボランティアの限界を考えさせました。

EDITOR'S NOTE

助けたい気持ちと、相手の望み、自分たちにできる範囲を分けて考える。

これは、赤嶺さんが記した迷いをStory Malaysiaが整理したものです。善意をすぐ答えにせず、自分たちの限界まで見つめたところに、この報告の大切な問いがあります。

WHY WE LEARN

学びは、将来の職業のためだけではない。

将来の選択肢を広げることにつながらないなら、勉強を教える意味はあるのか。赤嶺さんは、現地でそんな迷いにぶつかったと報告しています。

その迷いから赤嶺さんが捉え直したのは、学びには、職業へ直結すること以外にも価値があるということでした。分かる楽しさ、できたという達成感、目標までの道筋を考える力、少しずつ続ける力です。

一方、中村紡希さんは、子どもたちが自分から学びたいと思える環境づくりの必要性を記しています。二人は異なる経験から、それぞれに教育活動の意味を問い直していました。

  • 01分かる楽しさ

    結果だけでなく、知ること自体の面白さに触れる。

  • 02達成する実感

    小さな目標を立て、やり切った経験を持つ。

  • 03考え、続ける力

    必要な手順を考え、少しずつ積み重ねていく。

MOYAI AGAIN

「もやいなおす」先に、新しい関係が生まれた。

元記事のタイトルには、「途切れた絆をもやいなおす」という表現が掲げられています。

今回の再開は、4年前と同じメンバーで再開することではありませんでした。岩井准教授が新たな日本の学生8名を連れ、マレーシア側では卒業生が現役学生へ声をかけました。元記事は、新しい参加者たちが現地で関わり、これまでと同じかそれ以上に強い絆を育んだと伝えています。

赤嶺さんは、次回の渡航で、学ぶことの多様な価値が伝わる授業を展開したいと記しました。中村さんも、子どもたちへ学ぶ楽しさを届けたいと綴っています。途切れていた活動は、以前へ戻るのではなく、次の問いと実践へ向かって動き始めています。